ニホンカワウソ調査録

ニホンカワウソの調査・研究の記録 カワウソ目撃情報教はこちらまで→nihonkawauso2020@gmail.com

ニホンカワウソ調査2022/05/15

毎月高知県にカワウソ調査に行っていろんな発見があるのに仕事が忙しすぎてなかなかブログを書けていなかった。

新幹線に乗って車窓の景色を見ながらエモーショナルな気持ちになっているので、その勢いで書いていこうと思う。

いつから書けていなかったか分からないけれど、ここ半年くらいで高知県で確度の高いカワウソの目撃情報はたくさんあった。そして初めて対馬に調査に行って奇跡が起きた(これは別記事でみっちり書きたい。もし需要があれば)。自分のカワウソ調査に対する気持ちの変化もあった。

一つずつ吐き出す感じに書いていくのでまとまらないかもですがお付き合いくださいmm

 

まず目撃情報から

①僕がメインで調査している高知県西南部、よくキャンプをしている大月町の海岸から数百メートルほど南の磯場で今年の2月にカワウソの目撃情報があった。目撃した方は地元おじさんで夜の干潮の時間帯に貝をとりに磯場に降りていたそう。降りていってすぐに潮だまりでバシャバシャしている動物を見た。第一印象はかなり大きいと思った。横を通るとちょっと岸側に避けていったが逃げる様子はない。ヘッドライトで照らしてみるとカワウソそのものだった。おじさんは中学生の頃、大月町の某砂浜で弱っているカワウソを捕まえた時のグループの一員だった。そのカワウソはその後すぐ死んで剥製になっている。(ニホンカワウソ界隈ではよく知られた話)ということでカワウソを見たこともあるしなんなら捕まえている。直接話を聞いて(お決まりのいつもすることだが)ニホンカワウソの写真を色々見せたが、磯場で2月に見た動物はこの写真の生き物で間違いない、カワウソに間違いないと言っていた。なんなら、他の野生動物なんかとは全然違って、髭が長くて、口から喉元が白くて、尻尾持って背負ったら地面につくかというくらいでかいんだ(それはちょっと大袈裟だが笑)と説明を続けてくれた。聞き取り調査では、よくよく話を聞いて写真を見せるとやっぱり違うかなということもたまにあるのだが、カワウソをきちんと知っている人はカワウソの特徴をきちんと認識していて、きちんと描写することができる。その描写にカワウソの特徴と少しも食い違うことがなければその話は間違いないと僕は判断している。

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②上記目撃の磯場から1kmほど北側の磯に流れ込む川で夜にエビ獲りの仕掛けをしている時にカワウソを見たという話。その目撃者もカワウソを過去に見たことがあり、走り方がイタチみたいにぴょんぴょん走る感じでイタチよりも何倍もでかいという風に描写していた。(だだこの話は10年くらい前かなぁという感じで時期の詳細はわからなかった)

③上記同じ川で昨年、猟犬がカワウソの幼獣を噛み殺したという話もあったが、その話はそれ以上の詳細は分からず真偽を確かめられないので判断は保留としている。

④そのほかは四万十川支流や仁淀川などで数年以内の地元の方の確からしい目撃情報が数件あった。

 

そういうわけで「これはすごい、カワウソに間違いない」と思わされる目撃情報は2022年の今もちょこちょこ出てくる。カワウソ目撃情報は本当に嬉しい限りだが、それとは反対にカワウソの痕跡はなかなか見つからないのも現実。

環境省対馬のカワウソ調査の情報を調べていると、痕跡からDNAで判別できた4個体の生息が確認されており(2017-2018)、その後さらに力を入れて船を出して全島調査をしているが、2019年以降は全く痕跡が見つかっていないそうだ。

ただ、地元の方に話を聞くとその後もカワウソの目撃情報はあり、昨年末も地元の釣り人が海でカワウソを見たとのこと。環境省の数十人体制の全島調査でも、対馬という限られた範囲でカワウソの痕跡を3年間見つけられていないのだ。なぜ見つからないのかは分からないがそこから学べることがあるとすれば、過去に痕跡が見つかっている場所を再度徹底的に探しても痕跡が見つからないということはカワウソが移動している可能性は高いだろう。

対馬の話はまた別の回に回して高知に戻る。

高知大学に協力いただいてカワウソらしき生き物の痕跡があればDNA解析をしていただけることになっている。過去に一度カワウソに間違いない痕跡を見つけたのにそれを解析できずにすごく悔しい思いをしているので、即座にDNA解析できる体制が整っていることは調査をする上で何より心強い。しかも今回はカワウソ意外の生き物のものでも一定数解析をしてくださるので自身の知識をつけるためにもフンを見つけ次第色々送った。解析の結果を見て面白かったのはテンのフンにも季節や場所よって色んなバラエティがあるということで、やはりフンの色、形、サイズは食べたものに大きく依存するのだということを改めて学んだ。

テンのフンのパターンを紹介すると、

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小動物や鳥の毛を大量に含んだ典型的なフン


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アケビばかりを食べたテンのフン(少し劣化しているが)

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べちゃっとしたタール状のフン

最初はテンのフンとイタチのフンとの識別ができないこともあったが、今はイタチとテンだけではなく、その他、日本に生息する中型哺乳類のフンの識別ならできるという自信ができてきた。また、一種類の野生動物にも季節や生息域によるフンのパターンがあり、野生動物の生息域による食性の幅広さと奥の深さを垣間見ることができた。野生動物は本当にたくましい。野生動物の生態については学術的にもまたまだわからないことは多く、一つ一つの学びがカワウソに一歩ずつ近づいていることを信じワクワクしている。

 

p.sそういえば新しいカメラを購入しました。以前のカメラよりも断然フォーカスが早く、光量が少なくても良い感じに撮れるので満足している。

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新しいカメラでバッチリ撮れたアナグマさん

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大月町の夕日

 

それではまた近々!