みなさんこんにちは!
夏のカワウソ調査は既に2回行っており、今月末に今夏最後の調査を行う予定です!第三次夏季調査が終わり次第、調査内容をまとめて公開するので楽しみにお待ちください!今回はTwitterで発信した内容を改めて皆様にお伝えできればと思い加筆してブログで公開することにしました。
ニホンカワウソが絶滅したと思われている不都合な理由
1979年に飼育され逃がされた人馴れしているカワウソの映像が高知県新荘川で撮影される。そのカワウソは川遊びをしている子供と一緒に泳いだり、泳いでる最中に人間にしっぽをつかんで捕まえられたりした。普通の野生動物ではありえないことですね。
それ以前もそれ以降もニホンカワウソの映像は撮られていないので、上記のカワウソの撮影がいかにイレギュラーなできごとかがわかる。環境省はこの映像をニホンカワウソ生息の最後の証拠としている。
研究者や民間のもの好きな人たちがたくさん調査をしたのでこの期間(1960-70年代)に初めてそれなりにニホンカワウソの生態や生息地の解明が進んだ。
戦後、学会の見解では、カワウソは絶滅しただろうと思われていたが、愛媛県の宇和海にはいっぱいいるぞという話が地元から出てきたので、当時の道後動物園園長などが調査を開始してカワウソを再発見したという経緯があった。
【たいちゃん談: この頃から学会や学術研究者の間では、目撃情報が研究者に入ってこない、自分が目撃していない→もう絶滅しただろう、と安易に決めつける習性があったのだなと笑える話でもある。戦後も長野県や和歌山県など、日本全国にカワウソが間違いなく生息していたという証拠が存在する】
道後動物園(現在のとべ動物園)
1956年から1969年までニホンカワウソが計6匹飼育されていた。
1980年〜カワウソブームが収束し(国や研究者にとっても個体数の減少や一般人の無関心から研究対象にしても成果がでないものになる)先代から意思を受け継いだ一握りのほんとにもの好きの人たちが調査をするようになる。2000年頃までは高知県の委託で複数回調査が行われている。
この間、細々とニホンカワウソの生息が確認される。(フンや足跡、休み場、捜索者本人の目撃など)とりわけ1990年代後半まで高知県西南部でカワウソの痕跡発見とカワウソの目撃を続けていたのが高屋勉さん。
【たいちゃん談: 高知県委託の調査は調査者の一部がカワウソの生存に対して懐疑的であったり、カワウソの痕跡に対する知見が少なかったり、調査方法が確立されていなかったりで、成果は上がらなかった。(別記事で調査の詳細を紹介します)この時期の調査で特に惜しむらくは今よりも痕跡はあり、それらしきフンや毛などが発見され議論されたが、当時の技術ではDNA鑑定ができなかったということ。その結果、可能性の議論に終始し、次の一手を考えられなかった。】
2000年〜調査者はさらに極一部の人のみになるも、細々と目撃情報は収集される。行政による調査は行われていない。
2010年〜カワウソ研究者の方が絶滅危惧種になる。もはやフィールドワークはほぼ行われていない状況だった。僕の知る限りだとニホンカワウソに関心を向けている方(情報収集や、目撃現場の検証など)は数人。継続的、定期的に痕跡調査などのフィールドワークをしている人はおそらくいなかったと思われる。例外的に2012年に絶滅宣言が出された後、目撃情報が急増し、愛媛県の委託で複数回調査が行われた(こちらもまた別ブログで紹介します)
今〜僕やみなさん
ニホンカワウソの数はかなり少ないながらもDNA鑑定が容易に行えることと、自動カメラ、サーチライトなど文明の利器を使えるようになった。
数年以内には絶滅していなかったことを証明したいですね。(生息場所などは非公開が良いでしょう。この辺りはみなさんと議論できればいいですね。また別記事で書きます。)
雑感
環境省は50年以上生息根拠がない野生動物を絶滅と定義している。
ニホンカワウソの絶滅宣言が出されたのは2012年であり、1979年に新荘川で(環境省が認めている)証拠が撮影されてから30年ほどしか経っていない。その間もかなりの数の目撃情報やフンや足跡などの痕跡が記録されているにも関わらず。
1990年代後半には長年ニホンカワウソの研究をしていた高屋氏が犬と喧嘩して、川を泳いで逃げていったカワウソを目撃している。こういった間違いのないカワウソの痕跡の発見から絶滅宣言が出されるまで10年程しか経過していない。この足跡をカワウソのものだと鑑定できる権威者がいなくなったこともあるが、絶滅宣言は本当に不思議だと思わされる。30年以上カワウソの調査をして天皇陛下にご進講された方が見つけた痕跡はカワウソの生息根拠にはならず、新荘川のイレギュラーな映像が最後の生息証拠とされている。
また、1990年に撮影された新荘川の足跡も賛否はあるがカワウソの可能性が高いと思われる。
1990年11月に新荘川で撮影されたカワウソらしき生き物の足跡
さて、ここまで読んでいただくと絶滅という言葉がいかに陳腐で無意味で無根拠かがお分かりいただけたと思います←(環境省批判の意図はありませんが)
ツチノコやネッシーを探しているのではなく、そこに間違いなくいるニホンカワウソを見つけ出したい。(もの好きな人たちが半世紀繋いできてくれたバトンを受け継ぎたいという気持ちです)
今月末に第三次夏季調査を行います。今回はいつもより長めに時間を取れそうなので、自動カメラの設置、痕跡調査、聞き取り調査をみっちり実施したいと思っています。少し涼しくなってきたので痕跡調査も本格的にできそうですね。調査の内容などはまた次回!
目撃情報は下記メールまで!
nihonkawauso2020@gmail.com