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さて、今回の記事では、現在ニホンカワウソが生息していると僕が考える地域をブログを読んでくださっている方々に包み隠さずお伝えしていきたいと思います。
以前Twitterに書いたように僕はニホンカワウソは面的に生息していると思っています。そのためピンポイントではなく、やや生息範囲を広くとりながら、ニホンカワウソの行動パターンや特徴についても併せて書いていきます。
【ニホンカワウソの生息地】
ニホンカワウソが生息しているだろうと考える地域を可能性の度合いによって三段階に分けました。
第一段階はニホンカワウソが生息している(100%)と僕が考えている地域です。
第二段階は生息の可能性が高い地域(70%)、第三段階は生息の可能性がある地域(50%)と分けています。
第一段階は高知県の宿毛市、大月町、土佐清水市、三原村、四万十川流域、仁淀川流域、愛媛県の愛南町から八幡浜市にかけての島嶼、徳島県の吉野川流域です。
高知県の宿毛市、大月町、土佐清水市、三原村、愛媛県の愛南町から八幡浜市は隣接しています。
この辺り一帯は1960年代から何度も調査が行われており、日本最後のカワウソの生息地だと言われていた場所です。
1960年代から1970年代はこの地域に少なくとも数十頭のカワウソが生息していました。
生息の可否と生息可能性の判断の基準は、1. 目撃情報、2. 捜索チームの目撃、3. 痕跡、4. 過去からの流れの4つの観点を総合的に勘案して決めています。
生息可能性の最も高いと考えている地域は昔から何度も調査が行われており、痕跡や目撃などが絶えたことがない地域です。現在も目撃情報が出てきます。複雑な地形の海岸線と魚の豊富な中規模河川が何本もあり、カワウソの生息適地だと考えられます。
宿毛市から土佐清水市までの海岸線の距離は直線で約50kmほどで、ニホンカワウソ1個体の行動範囲とすると少し広いように思われますが、人の立ち入りを拒むような断崖絶壁の磯が続き、大小無数の河川が流れていることを考えると人目に触れずカワウソが日常的に移動していたとしても不思議ではありません。
(捜索メンバーがカワウソを複数回目撃しているのも、この地域の沿岸部です。)
(現在は数が減ったことにより、繁殖相手を探すために1個体辺りの行動範囲はさらに広がっていると推測しています。)
【河川に生息するニホンカワウソ】
川で昔からニホンカワウソの目撃が圧倒的に多かったのが三原村の河川、仁淀川流域、四万十川支流です。
目撃情報と餌になる魚種と量からの推測ですが夏は主に海で冬は主に川で過ごしているという可能性が高そうです。
一昔前の漁師の話では川のカワウソと海のカワウソ2種類がいて、性格や毛色が違ったという話があります。
この説は非常に面白い着眼点だと思いますが、今はこの説が事実かどうか調べるのは難しいでしょう。
一年を通して餌が獲りやすい海に生きる個体群の方が毛色や体格が良いといようなことはあったかもしれませんが、僕は昔も今も愛媛県、高知県に生息する多くのカワウソは日常的に(時期によって比重は違うが)海と川を行き来していると思っています。
夏と冬では海と川でとれる魚の種類や量が違うので、ニホンカワウソは季節や時期によって海と川を行き来しているだろうと推測しています。
捜索メンバーも海では夏・秋にしかカワウソを目撃したことがありません。
仁淀川流域の市町村に関しては現在でも目撃が絶えない地域です。
過去の目撃例は山ほどあるのでまたの機会に紹介します。
仁淀川流域での目撃情報はここ数年の間に間違いなさそうなものが何件かありました。
「見たことない生き物が頭を出したりもぐったりしていたという話」や、「橋の上からワニがすっ〜と泳いでいるのを見たという話」、「間違いなくカワウソを見たが人に話しても信じてもらえなかったという話」がありました。
最近仕事の関係でお会いした方がたまたま越知町出身でカワウソの話をしたら、「子供の頃仁淀川で遊んでいるときにカワウソを何度か見たよ」と当たり前のように話していて驚きました。現在50歳として40年前だとすると1980年頃でしょうか。
仁淀川とその支流では今も目撃情報があります。
仁淀川は日本一綺麗な清流だと言われており、護岸工事がされていないそのままの川の姿が残っているので、ニホンカワウソの生息適地なのです。
四万十川はあまり目撃情報が多くないのですが、最近、四万十川支流でかなり確度の高い目撃情報を入手しました。
仁淀川支流
三原村、宿毛市の中規模河川
愛媛県宇和海の島嶼に関して、直接現地を調査していないのですが、ぽつぽつ情報を入手しています。
愛媛県はカワウソ絶滅宣言が出された直後、県を挙げての調査を実施しており、数年に渡って目撃情報の収集と自動カメラの設置をしました。結果的にはカワウソは映りませんでしたが、かなり確度の高い情報が集まりました。その多くは宇和海の南側の島嶼、海での目撃情報でした。
調査をされていた方に直接お話を聞きましたが、カワウソだと思われる目撃情報はいくつかあったが、映像が映らなかったので、生息可能性は低いという結論をだしたそうです。
2年ほど目撃地点に複数台自動カメラを設置していたようですが、これだけだとカワウソを撮るのは難しいだろうなというのが僕の感想です。
カワウソの移動する習性や、生息頭数の少なさを頭にいれておかないと、他の動物調査で当たり前のことが通用しないのだと思います。
野生動物調査のプロでも、韓国でカワウソを調査されていた方でも、高知県に来て調査をするとカワウソは絶滅したと思うようです。
その理由は生息数がある程度あると、一定の場所に痕跡が残るという考えからです。これは普通の野生動物の調査だと当たり前のことであり、フンなどの痕跡は野生動物の生息を示す最も重要な指標でしょう。
しかしこの当然のことが高知県のニホンカワウソ調査では通用しないのかもしれません。
僕も以前カワウソのフン(スプレイント)を見つけた場所に1年間にわたりカメラを仕掛け、行く度に痕跡を探していたのですが、その後何も見つけられていません。
これがニホンカワウソ捜索の面白いところです。(辛いところです)
さて、愛媛県側の最新の目撃情報は少ないのですが、僕たち捜索チームが目撃している地点からも移動可能だということと、絶滅宣言後の目撃情報を僕なりに分析した結果、愛媛県にもニホンカワウソが生息している可能性は高いと判断しました。
目撃情報をどのように分析しているのかはまた別の記事で詳しく書くことにします。
【おわりに】
ざっーと書いてきましたが、僕がニホンカワウソがこれらの地域に生息しているだろうと推測する(細かい理由は諸々あるのですが)最も大きなものはニホンカワウソの移動距離の広さと、確実な目撃情報です。
確実な目撃情報(捜索メンバー、年配の地域の方でかつてニホンカワウソを目撃したことがあるなど)の場所を起点とすると上記の地域にはニホンカワウソが移動している可能性が高いと考えられます。
ニホンカワウソの生息地に関して質問等ありましたら、コメント欄にどうぞ。
続編は【生息可能性は少し下がるがそれでも少数生き残っているのではないかと考えている二段回目の地域】です。
近々、YouTubeに捜索メンバーが撮影したカワウソの映像をアップしていきますので、楽しみにしていてくださいませ〜。