こんにちは!
久しぶりの更新になります。
書きたいことはたくさんあったのですが、なかなか機会がありませんでした。
この一年の間にも、ニホンカワウソに関していくつか新しい動きや発見がありました。
まず特大ニュースから、昨年11月に高知県の西南部沿岸に1週間ほどカワウソ調査に行ってきました。
釣りとキャンプをしながら、のんびり海岸線を歩いてカワウソの足跡やフンを探していました。
なんて透明なんだ。。
(熱帯魚🐠もいる。)
しかし、魚があまり釣れず、カワウソの痕跡もなかったので、車に乗って帰ろうと思っていたのですが、
何気なく、昔カワウソの死骸が流れ着いたことのある磯場に立ち寄ることにしました。
その磯場で痕跡を探していると、
「あっ!」
石の上の目立つところにフンがあるじゃないですか!
僕は直感的にこれはカワウソのタール便だと思いました。
近づいてにおいを嗅ぐとほのかにかっぱえびせんのような香りがする。全く乾いていなくて新鮮です。これは間違いない。
タール便とは繁殖期のオスが腸から出す、メスに自分の居場所を知らせるための分泌物だと言われています。
「おーいニホンカワウソやーい」という本に詳しく書かれているのですが、匂いや形などの特徴は本の描写そのままです。
(新鮮な時は臭くないが時間が経過すると強烈に魚臭くなるというところも本に書いてある通りでした。)
カワウソは必ず石の上など目立つところにフンをします。
この種類のタール便を出すのは、イタチかカワウソしかないのですが、イタチのものは大きくてもせいぜい1〜2cmだそうです。
このタール便は5cmほどありました。
またこのタール便の左上に写っている乾いたフンの中には消化できなかった魚の骨らしきものが含まれています。
カワウソは同じ場所に続けてフンをする習性があると言われているので、この左上の乾いたフンも同じカワウソのものかもしれません。
この写真をカワウソ研究の第一人者である高知大学の名誉教授に送ったのですが、「まずカワウソで間違いないだろうと」おっしゃっていました。
しかしここからが問題でした。
バカなことに採取のためのケースやらなんやらは何も持っていなかったので、渋々歯ブラシケースに半分ほど入れて持ち帰りました。
このような状態のいい痕跡が見つかることははっきり言って想像していなかったので、準備が万端ではありませんでした。
カワウソらしき動画は撮れているので、後はDNAさえ出ればと言われている状況です。
すぐにでも鑑定に出したかったのですが、
いざ、鑑定に出そうと思ったらまたまた面倒な問題にぶつかりました。
それは、このタール便を絶滅したニホンカワウソの物だと信じて鑑定してくれるような機関がないということです。
このタール便をどこかで鑑定してもらえないか色んな人に相談したのですが、
以前書いたようにニホンカワウソを取り巻く事情は少々面倒くさいことになっています。
「高知で見つけたのだから高知でするべきだ」とか「あそこの大学は絶滅派だから相手にしてもらえない、以前黙殺された。」とかそういう話が出てきました。
こんなに確度の高い証拠はどれだけ探してもなかなか見つかるものではないと直感的に分かっていたので、とても慎重になりました。
結果的に採取したものの半分はカワウソ捜索メンバーに渡し、
(「高知で見つけたのだから高知県でするべきだ」という声を受け、高知県内のとある動物園へ送られる)
残りの半分は自分で持ち帰り冷凍保存をしました。
結果的にこの判断は正しかったのでした。
動物園に送られた半分は、「多分イタチだろう」という返事が返ってきたのみで、おそらく鑑定はされていません。
聞いた話によると、ここには何らかの事情があったのですが、公表は控えておきます。
ということで、動物園の線は消えたので、残るは冷凍保存しているもののみです。
そして
時間はかかりましたが、協力してくださる方が現れ、ついこの間、無事DNA鑑定をすることができました!!!
(続く)